アベノミクスはやはり財政ファイナンスだった

  • 2021年7月22日
  • 2021年7月22日
  • 時事

 これまで、アベノミクスは財政ファイナンスなのではないか、という懸念が常につきまとってきました。この記事では、安倍前首相の講演における発言を取り上げ、やはり彼は日銀に財政ファイナンスをさせていたのだ、ということを確認します。

 財政ファイナンスの定義は以下の通りです:

 財政赤字を賄うために、政府の発行した国債等を中央銀行が通貨を増発して直接引き受けること。国債のマネタイゼーション(国債の貨幣化)ともいう。日本においては、財政規律を失い悪性のインフレを引き起こす恐れがあるため、特別の事由がある場合を除いて財政法第5条により原則として禁止されている。

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 日銀は国債を政府から直接引き受けているわけではありませんが、金融機関が国債を競り落とした側から買い上げていますから、直接引き受けているのとそれほど変わらない状況です。

 しかし、これまでの日本銀行の建前としては、以下の黒田日銀総裁の発言の通りでした。

財政ファイナンスや国債の買い支えと言うつもりはない

財政状況はきわめて深刻、持続可能性の向上が重要=黒田日銀総裁

 国債の購入はインフレを起こすために金融緩和を行っているだけであって、政府の借金を支えることが目的ではないのだ、というのが言い分です。

 しかし、これまでの建前をひっくり返す本音が安倍前首相から飛び出しました。7月10日に新潟県三条市内で行われた講演で以下のように発言したようです。

『子供たちの世代につけを回すな』との批判がある。ずっとこの批判は安倍政権に対してあった。でも必ずしもその批判は正しくない。なぜかというと、今回のコロナ対策においては、政府と日本銀行が連合でやっているから、政府が発行する国債は日本銀行がほぼ全部買い取ってくれている。

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「政府が発行する国債は日銀が全部買い取ってくれる」から心配ないという発言は、実質的に財政ファイナンスを認めているでしょう。

 政府がどんどん借金をしても、日銀がすべて買い取ってくれるからまったく問題ない、と考える人が政権を運営していたことになります。

 また、この発言に対する批判の声はほとんど聞こえてきません。このような考え方が多くの政治家にもそれほど違和感がない、ということは念頭に置いておくべきでしょう。