読者の中には、ハイパーインフレ対策として、固定金利の住宅ローンを組むことを考える方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、フラット35以外の住宅ローンは、たとえ固定金利のローンであっても、ハイパーインフレが起こった場合には支払額が跳ね上がる可能性のあることを話します。
普通の住宅ローンの固定金利には例外条項がある
インフレの対策として、金利が固定された借金をするという考え方自体は理にかなっています。ハイパーインフレで世の中の物価や賃金が高騰すれば、実質的な返済額が少なくて済むからです。
しかし、一般的な銀行などが提供する住宅ローンには落とし穴が潜んでいます。
ローンを貸す側も、世の中がハイパーインフレなどの極端な状況になっても生き残ることができるように、あらかじめ予防線を張っているのです。
一例として、PayPay銀行の住宅ローン契約規定では、2021年7月現在以下のように定められています:
第 1 条 借入金利
(中略)
4.本条 1 項から 3 項にかかわらず、当社は、金融情勢の変化その他相当の事由があると認められる場合には、借入金利を相当の範囲で変更できるものとします。
住宅ローン契約規定 – PayPay銀行
この第4項の規定は、なにか理由があれば、たとえ固定金利のローンであっても、契約で決まっていた利息よりも高い利息を債務者に課すことができる、ということです。
ハイパーインフレは間違いなく「金融情勢の変化」にあたるでしょうから、そうなった場合には、金融機関は物価上昇分だけ支払金利も上げることが予想されます。
フラット35は途中で金利が変更されることはない
上記のような通常の住宅ローンとは異なり、フラット35の借入金利が途中で上がるようなことはありません。
その理由は、フラット35の住宅ローン債権は「証券化」されて、投資家に売却されているからです。下記の図を見てください。
この図は、フラット35 を提供する住宅金融支援機構の作成したパンフレットに掲載されています。
住宅金融支援機構が、住宅ローン債権を担保にして「MBS」という債券を投資家に発行しているのがわかるでしょうか。簡単にいえば、住宅ローンの返済として居住者から支払われるお金を、利息として支払う債券です。
債券という金融商品にはインフレのリスクがありますから、MBSが発行された時点で、インフレリスクは住宅金融支援機構から投資家に転嫁されています。
つまり、住宅金融支援機構はインフレになっても損をしないような仕組みになっているということです。このため、フラット35の契約には、わざわざ「インフレになったら金利を上げるかもしれないよ」などという条項を入れる必要がないわけです。
フラット35の全期間固定金利であれば、その名の通り本当に全期間にわたって金利が固定されます。
もしもハイパーインフレ対策として住宅ローンを組むことを考えているなら、フラット35を利用するのがよいでしょう。